実は果食鳥であるヒインコ科について私はほとんど知りません。ですので、ここではシード(種子)食であるインコについての話となります。
彼らの主食はカナリーシード、ヒエ、アワ、キビを混ぜたものが一般的です。そして大きく分けてあらかじめ皮のむいてある「ムキ餌」とむいていない「殻付」のものがあります。どちらが良いかといえば、こればかりは「殻付」を主張する人がほとんどでしょう。
ムキ餌の利点は、残りかすとして殻が出ないため、あまり散らからずに掃除の手間が省け、そのままでも全て食べつくすことを確認できるので無駄が無くて済む、という点で、これは人間にとって都合が良いだけで鳥にとっては何の利点にもなりません。
その一方で殻付は保存性が高く、一般的には栄養分も損なわれないだけでなく、鳥が殻をむくことで嘴の自然な磨耗を促進し、ストレスを解消するのに役立つとされています。
ところで、小鳥用のシードを買ったら一度水洗いしてみましょう。もし水が不透明になるほどひどくにごる.ようでしたら、そのまま与えるべきではありません。鳥の餌はいまだに「たかが鳥」という考えの下で作られているものも少なくないようで、いわゆるB級品を鳥用の餌にしていることもあるです。そうでなくとも自然な汚れというのがついていることもあるでしょう。そういった場合は、軽く水洗いしてよく乾燥させ、密閉ビンなどに入れて保存しましょう。可能なら小分けにして冷凍庫に入れてしまうと良いかもしれません(これはきれいなシードでも雑菌の繁殖を抑えるのに有効です)。
また、ひまわりの種のような高脂質、高蛋白のものは肥満の原因や、不必要な発情を招く原因となるので、小型、中型のインコでは主食には混ぜないほうが良いでしょう。
シードは人間で言えば「ごはん」だけです。必ず副食を与えましょう。
副食としてはまず第一に青菜が考えられます。ここで注意すべきは「青菜」すなわち「緑黄色野菜」をあげるという点です。レタスなどはほとんど栄養が無いので与えてもほとんど意味が無いとされています。青菜として適しているものの代表格が「小松菜」で、多くの人がまっさきに例に挙げると思います。中には、種を買ってきてプランターで無農薬栽培をしている人も少なくありません。しかし、どこの世界でも好き嫌いはあるもので、小松菜を食べてくれないコもいるでしょう。そういった場合はいろいろ工夫して食べてもらいたいものですが、どうしても食べてくれないなら他に栄養のある野菜を探したほうが良いかもしれません。小松菜に続いてですと、豆苗などもよく例に挙げられます (*1) 。さらに、ニンジンやトウモロコシも良いそうです。ある程度詳しいインコの解説書ですと、鳥に適した青菜を栄養成分を載せて紹介しているので、そういった本を参考にするとよいと思います。
さらに栄養を補助するインコ独特の食べ物として、「カットルボーン (*2) 」別名「イカの甲羅」と呼ばれる15センチぐらいの縦長の食べ物(?)や、ボレー粉と呼ばれる牡蠣の殻を粉砕したもの、塩土と呼ばれる土状のかたまりのもの、ミネラル入りの砂粒(グリッドと呼ばれます)などがあります。これらは全て与えなければならないわけではなく、ほとんどカルシウムとミネラルの摂取が目的なので、そのコにあったものを与えればよいでしょう。
まずカットルボーンですが、これはカルシウムやミネラルの補給の他、かじって遊ぶことで嘴の磨耗とストレスの解消に役立ちます。ただし、かむ力が強いコだとあっという間に壊されてしまいます。子桜インコやボタンインコなどのラブバードはからだの大きさの割りにかむ力が大変強く、一日で半壊、ひどい日には全壊してしまうかもしれません。
ボレー粉は、これもカルシウムやミネラルの補給に役立ちます。本来、牡蠣を砕いたものなので白いはずなのですが、中には着色されて緑色をしているものもあります。こういったものは避けたほうが無難でしょう。さらに、これも洗ってみるとかなり汚れているものがあります。気をつけましょう。
塩土は塩分とミネラル、それにグリッドの補給になります。ただし、本来インコはほとんど塩分を取る必要が無く、過剰な摂取は命にかかわる事態を招くので、与えすぎには注意が必要です。グリッドについては次に述べます。
グリッド(ミネラル入りの砂粒)はミネラルの補給に役立つほか、消化を助ける砂粒の補給にもなります。鳥は筋胃と呼ばれる器官でエサをすりつぶすのですが、その際に砂粒ですりつぶしを助ける働きをするのです。ただし、グリッドにも賛否両論あって、インコにグリッドは不要で、むしろ筋胃を傷つけるので与えるべきではないという主張もありますが、たとえ与えなくても自分で家の中で砂粒の落ちている場所を見つけ、積極的に食べるようなコもいるので、やはりある程度は必要なのかもしれません。
これらを積極的に食べない場合、あるいは何らかの不安を感じて与えたくない場合、鳥専用の栄養補助剤も売られています。鳥と人間では必要な栄養が異なるので、人の栄養剤を与えるのはやめましょう。
また、これら伝統的なものの他に最近ではミネラルブロックと呼ばれる栄養補給に特化した専用の塩土のようなものも売られているので、そういったものを試すのも良いかもしれません。
放鳥時のコミュニケーションに与えると鳥も喜ぶでしょう。おやつの代表はなんと言ってもヒマワリです。ただし、先にも述べたとおりあげすぎには注意が必要です。小型なら一回に数粒、週に2,3回、中型でも日に数粒程度、それでもあげすぎだという人もいるかもしれません。
ヒマワリのほかには炒ったカボチャの種や塩抜きされた煮干などがよく例として挙げられます。さらに、専門店ではインコ専用のクッキーのようなお菓子などが売られていることもあります。
スーパースプラウトは芽出し餌とも呼ばれ、人間用の野菜でも栄養価の高さから注目され、スーパーなどでも売られています。ただし、ここで作るのは普通のシードを一晩水につけて芽を出させたものです。とはいえ、これも栄養価は非常に高く、一部では最高のエサだとも言われています。しかし、キチンと管理しなければ多湿の日本ではカビや細菌の温床になるのでやめたほうが良いとの意見も多いようです。
シード食だけでは栄養が足りず、青菜などの副菜やミネラルの補給源が必要なわけですが、これらは好き嫌いの激しい場合もありますし、十分に摂取しているかどうか分かりにくく、経験の浅い飼養者だと、栄養不足を見抜けず深刻な病気に発展してしまうケースもあります。
そこで登場したのがペレットと呼ばれるドッグフード(といってもポリポリの乾燥したもの)に相当する総合栄養食で、基本的にはそれだけ与えていればよいといわれており、これらの問題を解決する切り札ともなります。
これだけ聞くと夢のようなエサに思えますが、問題もあります。まず第一に、比較的新しいもの(とはいっても登場自体は)なので、一生にわたってペレットを食べた鳥の健康に関するデータがまだ十分に集まっていないという指摘があります。第二に、ペレットだけ食べているコは自然なエサやいろいろな種類のエサ (*3) を食べる喜びが得られないという欠点もあります。第三に、一度シードを主食としてしまったコはなかなかペレットを食べてくれようとしないケースが多いという問題もあります。このほか、一部のペレットは着色 (*4) されていたり、化学的な保存料が使用 (*5) されている場合があり、これらは利点欠点を併せ持つので十分に注意しましょう。
ところで、先進的なペレットメーカーはペレットを人間用の食品を作る安全基準を満たした工場かそれに順ずる非常に衛生的な工場で作っています。ですので、人間が食べることもできます(ただし、それによって人間の健康が害されても私は責任を取りません)。実際、私は毎朝チョコとペレットを食べています。
以上のようなことを認識した上でペレットの利点を優位に感じるのであれば、ペレットを主食にしてみると良いでしょう。
さて、最後に重要なことを書いておきます。それは安全性が確認されていないものはあげないほうが良いということです。
人間が食べて健康に悪そうなものはもちろん、人間にとって問題の無い食べ物であっても鳥にとって危険である食べ物があります。例えば、チョコレートやアボガドは毒だといわれていますし、パンもそ嚢にたまるとカビの温床になるので控えたほうが良いという意見が少なくありません (*6) 。また、先に述べたとおり塩分の摂取はあっという間に過剰な水分補給とそれによる水分過多便を引き起こし、最悪の場合は命を危険にさらすことにもなります。そういった理由で人間用に味付けされたもの、とくにお菓子などは厳禁とされています。とはいうものの、どうしても欲しがるのでパンや麺類、スナック菓子を与えてしまう、ということはあるようで、私もチョコをお迎えして心を入れ替えるまではそうでした。ではそういったコの全てが健康を害したのかといえば、少量であれば必ずしもそうでないケースもあるようで、むしろ特別においしいものを、そして人と同じものを食べる喜びを得ることができるかもしれません。しかし現在ではそのような考えは撤回しています。第一に、そういったものをはじめから与えず、食べ物だと認識させなければよいですし、第二に一緒に食べるということであればヒマワリの種やカボチャの種、煮干、インコ用のクッキー、ペレット、何だって人間も食べることができます。つまり、人間が彼らに合わせればよいわけです。