不景気のメカニズム


不景気のメカニズム
新聞やテレビなどのニュースでは、様々な経済指標から現在が好景気・不景気であると結論付ける論調を見聞きすることがありますが、実は好景気・不景気には厳密な定義が存在し、その定義から外れれば実感が薄くても好景気・不景気とは認められません。
では、好景気・不景気を決定するのはどのような仕組みによるのでしょうか。今回は好景気・不景気のメカニズムと、不景気を決定する要素について見てみましょう。

好景気と不景気を表す「景気循環」とはなにか

基本的に経済には好調・不調の波があり、規則的に規模の拡張と縮小、あるいは回復→好況→後退→不況→回復の循環サイクルを繰りかえしながら、徐々に規模を拡大していくのが一般的であり、この循環サイクルを「景気循環」といいます。
景気循環のサイクルのことは「波」といいますが、波には数年で一巡する期間・規模ともに小さいものから、数十年をかけて一巡する期間・規模ともに大きく、歴史的な影響を残すものまで、いくつか存在することが知られています。

それぞれの波は発見した経済学者の名前から取って名前が付けられ、

  • キチンの波…周期40ヶ月程度。在庫変動(在庫循環)の波
  • ジュグラーの波…周期10年程度。設備投資の波
  • リッグルマンの波…周期17年から18年程度。建築投資の波
  • コンドラチェフの波…周期50年から60年。戦争(技術革新)の波

の存在が知られています。

景気循環のメカニズムはどのようなものか

このように一定の周期で循環するとされている景気循環の波ですが、どのような仕組みで変動しているのでしょうか。その仕組みを見てみましょう。

景気循環の基礎となるのは支出活動であり、家計の支出が順調であれば物品やサービスなどの「財」の需要が増加することで、企業の生産活動や設備投資が活発になることで景気動向は改善します。
景気動向の改善により好況となることで様々な財の需要が大きくなりますが、財の需要が高まりすぎると需給のバランスが崩れて財の値段が高騰して家計の支出が鈍くなり、企業は生産活動や設備投資を控えることで景気動向が悪化します。
これにより財の需要が減少すると需給のバランスが改善することで財の価格が安定し、再び財の需要が高くなる…、というサイクルが景気循環です。

今回は家計を起点として景気循環を見ましたが、企業や国家など、規模の大きな経済主体から見ればまた別の景気循環の流れが見えるため、好景気・不景気の中でもばらつきがあることには注意が必要です。
様々な経済活動が需給のバランスで成立している限り、景気循環の波が発生することは否定できませんが、国による景気対策や金融機関による資産運用では動く金額や波及効果が大きいため、景気循環の波をマイルドにすることや、悪影響を減じることができます。

好景気・不景気を決定するのはどこか

このように決定される好景気・不景気ですが、日本では内閣府の発表する景気動向指数・景気合成指数(DI・CI)を用いるのが一般的です。
先の景気循環のメカニズムは4局面に分割したものでしたが、内閣府の発表するDI・CIは2局面分割であり、より単純に好景気・不景気のどちらかで判断をおこない、より細かい分析を下す公式判断は、月例経済報告に記載されます。
月例経済報告とは、内閣府がDIに基づいて毎月取りまとめをおこない、経済財政政策担当大臣が関係閣僚会議で原案を提出して、了承を経て公表される報告書であり、経済全般が総括的に評価されるのが特徴です。
月例経済報告で注目されるのが景気動向を示す基調判断であり、「弱含んでいる」「改善に足踏みがみられる」「持ち直しの動きがみられる」などを用いることで前月からの変化を明確にすることで、2段階評価の景気循環がどのような状態にあるのかを明確にしています。

おわりに

景気には波があるとする景気循環の考えかたは、経済学の研究の場ではめったに使われなくなった考えかたですが、実際の経済活動を説明するためには非常にわかりやすいため、政府の報告書をはじめとして様々な場面で現在も使われています。
景気循環と景気動向、実感としての景気はそれぞれタイムラグが発生するため、この3つが一致しないことが増えたバブル崩壊後の経済状況は体感として一貫してそれほど改善した兆しはなく、「失われた10年(20年)」とも言われる要因の1つとなっています。
好景気・不景気を考えるときには、景気動向に注目して考えるようにするのが賢明と言えるでしょう。

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