平成不況とは


平成不況とは
1980年代末から1990年代はじめにかけてのバブル景気は、日本経済史上空前の好況として記憶されていますが、その反動は極めて大きくバブル崩壊をきっかけとする経済の落ち込みは、「平成不況」や「失われた20年」として知られています。
四半世紀近くに及ぶと言われている日本経済の落ち込みは、経済や社会にどのような影響を及ぼしているのでしょうか。
今回は平成不況の概要と、その影響について見てみましょう。

平成不況とはどのようなものか

一言で平成不況と言ってもその定義はいくつかのものが存在し、

  • 1991年(平成3年)2月から1993年(平成5年)10月までの32か月間(第11循環後退期)…第1次平成不況(バブル崩壊、複合不況)
  • 1997年(平成9年)5月から1999年(平成11年)1月までの20か月間(第12循環後退期)…第2次平成不況(日本列島総不況、複合不況)
  • 2000年(平成12年)11月から2002年(平成14年)1月までの14か月間(第13循環後退期)…「第3次平成不況」(IT不況、デフレ不況)

に分けられます。
一般的に「平成不況」と言うときには第1次平成不況のことですが、より広い意味では第1次から第33次までの全期間を含む不況期間を指すケースもあり、その内容は大きく異なります。
ここでは「平成不況」と言ったときに、一般的なバブル崩壊とそれに続く第1次平成不況に絞って見てみましょう。

大きな爪あとを残す平成不況

バブル崩壊という現象は、単に景気循環サイクルでの景気後退だけでなく、急激な信用収縮や資産価値を高値維持してきた投資意欲の急激な減退、財政・金融政策の錯誤によって引き起こされたとするのが一般的です。
バブル期に土地を担保としておこなわれた融資は地価の下落によって担保価値が融資額を下回る「担保割れ」の状態におちいり、銀行の保有する資産が大量の不良債権に化けて経営を圧迫し、1990年代を通じて銀行経営の大きな問題となりました。
銀行は生き残りのために融資を極端に絞って貸し付けを強引に回収する「貸し渋り」「貸し剥がし」に走り、経済活動が大きく収縮したことで景気が冷え込み、企業収益の大きな低下を招きました。

バブル崩壊を印象づけたのが、史上最高値をつけた直後に急落した日経平均株価の推移です。1989年の大納会(12月29日)に終値として史上最高値となる30,8915円87銭を付けたのをピークに暴落に転じ、湾岸危機と原油高や公定歩合の急激な引き上げが起こった後の1990年10月1日には20,000円割れを記録、わずか9か月あまりの間に半値近い水準にまで暴落しました。
株式と同様に投資資産として注目されていた不動産も同様に暴落を記録しました。
時期は多少前後しますが、内閣府の国民経済計算では日本の土地資産はバブル末期の1990年末の約2,456兆円をピークとして2006年末には約1,228兆円となり、およそ16年間で資産価値が半減する急激な下落を記録しています。
このようにバブル景気を支えた株式と不動産の2本の柱が急激に崩壊したことで大規模な信用収縮が起こり、様々な問題を引き起こしたのがバブル崩壊の本質と言われています。

平成不況の経済的影響

バブル崩壊とそれをきっかけとする平成不況は、日本経済にどのような経済的影響をもたらしたのでしょうか。影響について見てみましょう。

平成不況がもたらしたもっとも大きな影響としては、「失われた20年」の発生があります。
バブル景気の後期から、実体経済と資産価格のずれから経済に軋みが生まれはじめていた日本経済ですが、1989年4月1日から消費税が導入されたことや急激な金融引き締め、劇的な信用収縮によるバブル崩壊からはじまったとされる「失われた20年」は、1997年に行われた消費税5%への増税をきっかけとして本格的なデフレに突入し、家計や企業収支が緩やかに落ち込むこととなります。

2000年代に入り小泉政権になると、「聖域なき構造改革」の旗印の下、量的緩和をはじめとする様々な経済政策により、2008年のリーマン・ショック直前まで緩やかな景気回復を実現しましたが、その恩恵が一般家庭に降りてくるほど顕著な景気回復は起こりませんでした。
小泉政権後の10年近くに及ぶ政治的迷走の末に第2次安倍政権による経済政策「アベノミクス」は一定の効果をもたらしましたが、続く政策の不在や世界経済の失速などにより、その先行きは不透明なものとなっています。

「格差」を産んだ平成不況

「失われた20年」が日本社会に与えた影響の中でもっとも大きなものと言えるのが、「雇用環境の変化」です。

それまでは「一億総中流」と言われ、大学卒業後は正規雇用のサラリーマンとして務めるのが一般的だった日本の労働環境は、長引く景気低迷によって大きな変動を余儀なくされました。
その象徴と言えるのが、正規雇用の減少と非正規雇用の増加です。
特に非正規雇用の増加は顕著なものがあり、2005年では女性は全世代平均が51.7%と5割を超えた状態を維持、男性は15から24歳で44.2%と高く、25から34歳も13.2%と2000年の5.6%と比べて2.5倍近くに増え、将来の生活設計や社会保障に大きな影響を及ぼす非正規雇用の増加は、社会的に重大な問題として対策が急がれています。

おわりに

1980年代末のバブル崩壊と、続く平成不況や失われた20年は、戦後日本の象徴とも言える「一億総中流」という幻想を打ち壊し、苛烈なグローバル社会の競争の只中に日本を投げ込むことになりました。
この苛烈な競争に適応できるかどうかが、今後の日本経済のみならず社会構造も左右するカギと言えるでしょう。

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